東京で始めることは、日本全国に広げるコミット|株式会社Luup 岡井大輝

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、姿を変える東京。 一方で、東京を歩いてみると、愛しき「相変わらず」を垣間見ます。 2回目の緊急事態宣言で、長引く外出自粛の日々。 ただ一方で、会えない日々を越えて、いざ、リアルの場所で会ってみると、対面することの価値を感じることも。 マスメディアで見せられる新しい世界と、リアルな世界の間で感じる違和感を深堀り、思想と知見を集めながら、いまこそ、新しい東京の価値を考えよう。 「いかに早く、これからの日本に必要な新しい交通インフラをつくるか」が、僕らがLuupで実現したい全てです。 電動キックボードなどのマイクロモビリティの開発から、日本の公道で誰もが安心して乗ることができるように、実証実験や政府や自治体への働きかけまでもを行う株式会社Luup。 今回は、代表の岡井大輝さんに、LUUPの始まりの地として東京を選ばれた理由、そして、LUUPの事業開発の背景でもある50年後の東京の姿についてお話いただきました。

都心に過密する人口をほどく、インフラ「LUUP」の始まり


岡井さんは、どうしてLUUPの事業を始められたのですか。

そうですね。まず背景からお話すると、日本って50年後どうなりますか?って考えた時に、高齢者が、人口の3分の1ぐらいを占めることになります。じゃあ次に、その高齢者がどこに住むんだろう?と考えた時に、老人ホームという選択肢があります。老人ホームはどこに建つんだろう?と考えると、地方に建てるとインフラコストが高くなりすぎて、維持ができないので、都心部に建つことになるんです。そうすると結果、都心部に人口がよっていくのは確定事項だと考えています

コロナの影響で地方移住は増えたとも聞きますですが、東京の人口を大きく変えるような規模ではありません。ここ数年でも東京の人口ってどんどん増えていて、人口の様態の変化がとても早いんですよね。



そこに対して、電車やバスって、5年や10年のスパンでその形を大きく変化させられるんだっけ?っていうと、すでに完璧にインフラとして成立しているが故に、それはかなり難しい。何か新しい別のモビリティが新しく生まれないと、街のかたちを変えることはできない。「それに対応できるモビリティはなに?」を考え、「駅で降りてから、駅から離れた場所にどのぐらい楽に移動できるか」を解決するサービスをつくりたいと思いました。

短距離移動に最適なモビリティを考えた時に、世界で唯一普及している電動・小型・一人乗りのモビリティは「電動キックボード」だったので、LUUPはこれの社会実装に向けて、政府や自治体、街の人々との対話や、実証実験に取り組むことにしました。また、電動キックボードは日本では新しいモビリティですし、短距離移動インフラはまだ少ないので、まずは人々が慣れ親しんだ「自転車」を小型・電動アシストにして、高密度のシェアサイクルサービスを先に展開しています。

LUUPは若者のためのものだと思っていたのですが、高齢者まで含めた「インフラ」を目指されているんですね。でも、電動キックボードって高齢者の方、乗るんですか…?

おっしゃる通りで、みんなで乗ることができる「インフラ」にするために、LUUPは、大きく2つのことをやっています。1つ目が、製造で、電動キックボードの他に、高齢者の方にも乗りやすいタイプの製造もしており、高齢者の方でも、誰でも乗ることができるモビリティを開発しています。

そして2つ目が関係省庁や自治体との対話です。この新しいモビリティを皆に信用してもらうためのアクションと、それとは切り分けて、新しいモビリティはできたときに、当たり前にシェアをする文化がある状態にするためのシェアモデルを広げるアクションをしています。

現在、電動キックボードではなく、小型電動アシスト自転車でLUUPを色々な飲食店やホテルに置かせていただいてシェアサイクルサービスを運営しているのは、そのためです。実は電動キックボードとこの自転車の横幅は一緒で、まずは自転車で「シェアできるの、便利じゃん!」って思ってもらって、そこをもっと便利なキックボードに変えていくというのをやっていきたいなと思っています。


始まりの地「東京」を選んだ2つの理由


東京駅前でLUUPの実証実験をしているのをテレビで見ましたが、とても便利そうでした!東京で、検証実験をされたのには理由があるのですか?



なぜ東京かでいうと、2つあって。

1つが機体の実証実験という観点だと、東京で走って安全だったら多くの人がきっと安心できそうだという、安全面の観点の最上位って意味で、僕らは東京を選びました。

難易度の高い環境で実証して大丈夫だったからこそ、それより人がいない地域でも利用できると考えました。芝生が広がってる私有地で電動キックボードの実証を重ねてきましたが、事故が起きないのは当然です。実際にやってみて、想像よりも東京は特殊だということに改めて気が付きましたね。海外のほうがマイクロモビリティの普及が進んでいるので、お手本にしようとするのですが、服を買う場所やビジネス街、ホテル、歓楽街などが、こんなに短距離で密接してる街は世界にもなかなか無いんですよね。

そして、もう1つが日本国民皆の意識として、東京から始めたことによって「日本のモビリティ革命」っていうイメージを持っていただくことができたのではないかと思っています。それは、始まる場所、というか、「象徴」という側面が東京にはあるからだと思いますね

東京で始めることは、東京だけのためのものではなく、日本全国でやる約束を同時にしてることになると思うんですよね。





始まりの地として、東京は唯一無二の場所なんですね。LUUPが広がると東京はどうなっていくのでしょうか。

街中全部を駅から10分以内で移動できるようにしたいんです。東京の23区内だと歩いて10分って大体800mぐらいなんですけど、その2.5倍ぐらい自転車だと進めるんです。という感じで、駅ごとに円を引いてくと、ほぼ首都圏すべて網羅できるんですよね。

つまり、理論上、LUUPが普及できていれば、全ての場所10分で行けるはずなんです。そうすると、不動産の話でいうと、徒歩15分とかの物件が、全てLUUP10分の価値までは、上がってくれるはずなんです。そこまで上げるのがLUUPの任務です。

「街全体の経済活性を変えるために、どんな仕組みが必要か」ということを考えていて、ちょっと便利な自転車をつくるためのサービスではないんです。あまり使われない、粗利率の低い地域にも設置して、目先の利益よりもインフラ化していくことを重視しています。

LUUPがインフラにこだわる理由と、50年後の東京

ただ、とはいえ、あまりエモいことは考えていなくて、背景には「高齢化が進む中で、全体最適をしていくためには、どうすればよいか」みたいな考えがあって。



全体最適…どういうことですか?

日本の全体最適はなにかと考えると、本当は駅前には高齢者が住み逆に、移動の困難が少ない若者は、駅から10〜15分離れた場所に住む形が最適だと考えます。でも、実際は逆で、高齢者は駅の繁華街にはきっと住みたくないと想像できます。若者は便利な駅前に住みたいと、それぞれの場所を選んでしまっている。その結果、異常に非効率ですよね。

これはどこかで是正されていく気がします。なぜ確信を持てるかというと、じゃないと日本が破綻するからです。例えば、救急車のコストがこれ以上膨れ上がるとそもそも維持が難しくなるはずです。

難しい問題だなと思っています。人間としての尊厳やこだわりと、全体最適としての非効率があるわけですけど、ただ、何かを捨てなければいけなくなる時代は必ず来ると確信しています。

住みたい場所に住むという人間としての尊厳と、全体最適のための効率化が天秤にかけられるのですね。

そうです。船が沈みゆくんで、積み荷は捨てなきゃいけないんです。「じゃあ何を捨てますか?」って話だと思っていて。

でも、ただ捨てるだけじゃなくて、より効率的に何とかできる手段を提供したいって、生まれたのがLUUP。単純に「LUUPがあるから、駅近じゃなくてもいい。」と若者が住む場所を考えるようになるのはもちろん、LUUPがあることによって、駅から離れたところでもカフェやお店が栄えるようになり、人気のエリアになっていく未来をイメージしています。



LUUPは〇〇のためのサービスというより、若者から高齢者までみんなで効率よく、より楽しく、生きてくためのまさにインフラなんだっていうのを、改めて感じました。

インフラにしていきたいです。東京で始めるということは、僕たちにとって、日本全部に広げていくことをコミットをするということでもありました。インフラとしてやっていく以上、日本全国に張り巡らせなければならないと思っています。

何かを捨てなければならない、究極で、かつ、誰かの尊厳が犠牲になる決断を迫られる時が来る前に、前向きな方法で全体最適に近づけるように、LUUPは拡大のスピードにこだわっています。瞬く間に崩れていく船が、崩れ落ちる前に、LUUPを日本全国に広げて、食い止めたいですし、それが自分に任された責任だと考えています。

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